PALS4S(ピクチャーアクションラーニング4シーンズ)について
PALS4Sは、「ピクチャー・アクション・ラーニング・システム・4シーンズ」の略で、集団のルール・マナーといった社会適応が苦手な、また、幼くて周りの状況が見えていない広範な子どもたちに、2枚のイラストを提示し、一般的に求められる振る舞い方を学習するとともに、学習した内容と実際の生活場面を結びつけ、行動を修正するための「気づきを生み出す」システムです。
PALS4Sは、文字が読めて、一定の場面理解ができる幅広い子どもたちを対象に作成されています。PAL4Sは、特徴的な不適切行動の場面を取り上げ、できる限り多くの場面を提示できるようにまとめている完全な手作り教材集です。
PALS4Sの特徴としては、次の4点があります。
@学校現場の実態を踏まえて、リアルに描くことで、簡単な線書きで、けっして上手いとは言えないイラストでも、子どもたちに実際に伝わりやすいという実績を踏まえていることです。
A学校に限定せず、家庭や地域でのつまづきやすい場面を取材し盛り込んでいることです。これによって、より多くの人に活用していただけると思います。また、いわゆるSST(ソーシャルスキルトレーニング)の枠にとらわれず、「不適切行動に気づく」ことを目的にして、より直接的な行動を取り上げて題材にしています。生活の中で、より支援が困難な場面(例えば、食事・排泄・受診など)を扱っています。
Bネット回線を使って、もしくはPCにダウンロードするオフライン版で、必要なイラストをすばやく呼び出して提示できるデザインにしています。また、イラストをPCにダウンロードして、印刷できるように設計しているので、紙ベースの教材としても使っていただけます。パソコンだけでなく、スマホやタブレットなどの端末からでも検索できるように作りました。
C教材に対する感想を送ったり、改良の要求をしたりすることができます。新しいイラストを増やすことも要請できます。つまり、PALS4Sは、子どもたちと接するみなさんと連携をとりながら、より有効で実際的な教材へと成長していくシステムであるということです。双方向のつながりで、より使いやすい教材集に仕上げていきたいと思っています。
ルールやマナーは、不確かなものであり、理解することが難しいので、視覚的な支援が必要です。しかし、具体的には絵で表現することが難しい場合が多く、有効な教材がまとまった形で提供されていないのではないかと思います。それぞれの現場で、担当者(保護者)が自作しながら対応しているのが現状ではないでしょうか。そして、学校現場でも、先生たちから「絵が苦手で困っている。」「どんな風に描いたら伝わるかわからない。」といった声を聞きました。私は、絵を勉強した訳でもなく、技術もありませんが、なぜか適当に描いた絵が妙に子どもたちに伝わり、いろんな先生方から評価される経験をしました。
ひょっとしたら、私の絵でも役に立つかもしれないと思い、まとまった数のイラストを用意して、この方法(PALS4S)で整理していこうと考えました。時間と手間はかかりますが、きっとこれがあれば便利だと思ってくれる人たちは少なくないと感じたからです。
これが、PALS4Sの目的と作成動機のアウトラインになります。
PALS4の展望について
今後の計画として、みなさんから要望の多いものから順次、イラストを手直ししたり、書き加えたりしていきます。ご意見・ご要望はこちらからご連絡ください。
大きな展望というか目標として、私はこの教材をネットで多くの人たちと共有しながら、意見交流・情報の交流をして、よりわかりやすく実際に使えるものに磨き上げていきたいと考えています。
目の前の子どもたちに社会適応の力を育てるために、拙いながらも、1つの方法を提案させていただいた訳ですが、この教材を柱としながらいっしょに教育について考え協力していける仲間・ネットワークを築いていきたいのです。
今後、どのような形で、教材づくりを続けていけるかわかりませんが、いっしょに作っていけるネットワークを少しでも広げていきたいと思っています。
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